2011年3月11日の東日本大震災を起因とする原発事故から、今年は二年目となります。
ま ず、被災され、自宅を失い、仮設住宅お住まいの方々、親戚縁者を頼りに移動を余儀なくされた方々、ご家族、ご友人を亡くされた方々、未だ多くの不安に暮ら す方々、そして、全国各地におられる福島第一原発事故の影響により体調に不安を抱える皆さま方に、お見舞い申し上げます。
私どもFRCSRは、発足以来、福島第一原発事故の体調不良を抱える多くの皆さまとともに歩んで参りました。東日本大震災から二年目を迎え、ここに改めまして、FRCSRのこれまでの活動、そして今後についてご案内させていただきます。
こ の二年の間、「みんなのカルテ」は、原発事故後の体調の変化や不定愁訴の情報を共有できるよう、症状を記録するため、原発事故後の「あきらかに何かがおか しい」と感じる方の声や貴重な症状報告の収集に尽力して参りました。私たちの活動の基礎となる「みんなのカルテ」に寄せられた声は、この二年で500件を 超え、記録されたご本人のご家族を含む延べ1500名を超える方々の症状をお書き込みいただいています。
皆 さまの声を一語一句改変せず、私見や解釈を加えず、情報や記事の素材として扱わず、そのままを集積させる。基本的に、転載転用をお断りし、お預かりした内 容を閲覧に留める。発足当初より、私たちが第一に心がけてきたのは、そのことです。多くの方が対処を考える、あるいは行動を起こす。その第一歩である「気 づき」となるための症状と体調の変化をお寄せいただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
「み んなのカルテ」は、病理データではありません。けれども一般の人々が危機を察し、回避しようとするのは、数値からではなく、文言です。「黒い雨」や「はだ しのゲン」を読んでいたために、この危機を察知する事ができた、という方が多くいらっしゃいます。皆さまのお一人お一人の文言は、多くの方の気づきに、確 かに繋がっています。「家族が気づいてくれた」「自分の症状と一致している」というような声をいただく事も珍しくありません。
私 たちは、この福島第一原発事故による体調不良について、過去の歴史であるチェルノブイリ原子力発電所事故により被災された方々の症状から、自分の身に起こ りうる未来を想像しようとします。しかし、今、私たちが立たされている状況にあった、当時のチェルノブイリの人々は、事故当時の政治的、社会的理由によ り、症状や放射能汚染そのものが力ずくで隠蔽、否定されていたため、それが被ばく症状である、という認識を把握することさえ困難でした。また、この強力な 隠蔽と否定の歴史は、核実験であれ、戦争であれ、事故であれ、どれほど多くの人々が被ばくしたとしても、被ばくにおける病理研究を延々と足止めさせ続けて います。そのため医師たちの中にも、症状を被ばくと結びつけて考える事ができない人も多く存在します。「みんなのカルテ」は、将来長きにわたり、私たちの 礎となるはずです。
「み んなのカルテ」は、現在、FRCSRとして活動の幅を広げるために、主筆にYuriHiranumaさんをむかえ、重要と思われる病理資料や論文、記事、 文献を読み込み、調査し、著者や研究者に直接コンタクトをとり、検証を繰り返し、和英訳し、多くの時間と手間をかけて、広く日本と海外双方に現状を公開、 配信しています。
近 年では、このような日々の作業と合わせ、被曝について日本の皆さまに広く認知していただくために、ヘレン・カルディコット博士講演会を開催し、福島の方々 へ、この講演会DVDを無料で送付するなどの活動を行っています。誰よりもまず先に、事故地、福島の皆さまに、きちんと被ばくについて伝える必要があると 私たちは思っているのです。これは、人権です。同時に、避難をしたくてもできない人達の状況を理解できた今は、そのような方々に寄り添って支えるために も、正しい知識を、一人でも多くの方に身につけていただきたいと願っています。
YuriHiranuma さんと私は米国に在住し、海を越えてインターネットから、原発事故後、体調に不安を抱える日本の方々のために、こうした多くの業務を行っています。資金や バックボーンとなる団体を持たず、収入源となる講演活動などを行うことのできない私たちの日々の業務は、どのような個人や団体とも一切の思想的、金銭的関 係はなく、FRCSRの活動に理解を頂ける皆さまからの応援と、膨大な時間と労力を必要とする作業に取り組ませてくれている、それぞれの家族の理解により 支えられ、成り立っています。
私たちは、原発事故後、日々変わって行く状況を把握していきながらも、一番の焦点は、混乱する情報を精査し、できるだけ皆さまのお役に立ち、同じ目線で考え、気持ちに寄り添うことを心がける活動を続けてゆきます。
今後もこれまでお預かりした貴重なカルテを、大切に保管、共有し、ツイッターやウェブサイトなどを通して、皆さまと対話を続けながら、体調変化の理解の手助けとなるような情報をお伝えしてゆきたいと思います。
これからも私たちFRCSRをよろしくお願い申し上げます。
Shino Yasutomo
Executive Director
FRCSR
いつもありがとうございます。FRCSRの活動の趣旨がわかりました。「みんなのカルテ」は将来の長きにわたり、みんなの礎となる、という言葉に、また一つ覚悟のようなものを自分の中で感じました。
返信削除避難をあきらめていた時に、あきらめないで、と声をかけていただいた者です。なんとか主人も動いてくれて避難できそうです。精一杯生きます。福島
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