〜 チェルノブイリ新聞切り抜き帖より
チェ ルノブイリ原発事故後、5年からさまざまな疾病が急増することについては理解されている。しかし、この認識の一方には5年間の猶予があると理解されている 節もあり、このことは、非常に危険である。データというものは数値でしかない。それ故に、冷徹に判断するには妥当であるが、事の経緯について、進行する物 事の状況について、想像する事は困難である。
原子力安全研究グループ内に「チェルノブイリ新聞切り抜き帖」というチェルノブイリ原発事故後、20年分のチェルノブイリ原発関連の新聞の切り抜きがある。 この切り抜き帖より、事故から10年間(事故発生1986年4月より1996年迄)を抜き出し、さらに、身体症状に関する記事を抜き出した。
福島第一原発事故後、私たちは多くの不安を抱え、暮らしている。ここに示される10年が全く当てはまるかどうかはわからない。しかし、多少なりとも、あるいは、それ以上に、起こるであろうことを予測せざるを得ないのが、現状ではないかと思う。
なお、ある時期を境に、症状に関する掲載が極端に減っている。しかし、これはなにも症例数の減少ではなく、マスコミの取材興味対象の変化によるものではないかと思われる。
*この記事抜き出しは、避難、汚染についても今後行う予定である。
*記事中「?」の化け文字と思われる記載があるが、そのままに記録した。
記事に見るチェルノブイリ事故後10年間の症状 〜 チェルノブイリ新聞切り抜き帖より
1986年4月〜
86/04/30 読売 「ソ連、最悪の原発事故」
ソ 連閣僚会議は28日夜(日本時間29日未明)、国営タス通信を通じ、ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発で 事故が発生、原子炉1基が破損、被災者がでたと発表した。キエフ市当局者は、事故が26日におき、多数の死傷者が出たことを確認した。事故発生から3日後 の29日夜現在も同原発では炉心火災が続いている模様。
86/04/30 東京」 「死者2千人越す?」
ソ連の原発事故について、各種報道を総合すると、事故が起きたのは26日夜で、2000人以上が死亡したとの情報もある。
86/05/01 読売 「建屋破壊まざまざ」
ソ連政府は30日夜に声明を発表、チェルノブイリ事故の死傷者に関し、死者数千人という一部西側報道を否定、死者が2人であることを確認するとともに、197人が病院に収容されたことを明らかにした。
86/05/02 朝日 「重体は18人」
ソ連は1日午後、チェルノブイリ事故の被害者のうち18人が重体だ、と発表した。前日、被害者の数は197人で、そのうち49人はすでに検診を受けて退院したとしていた。また、被害者のうちに外国人はいないと伝えた。
86/05/03 朝日 「4邦人が被ばく」
科 学技術庁は2日夜、ソ連・キエフ地方から帰国した日本人4人が、チェルノブイリ事故による放射能を浴びてい た、と発表した。4人は32?50歳の男性で、4月22日から同28日夜まで、チェルノブイリ原発の北約300kmのモギレフに商用で滞在していた。1日 夜成田空港へ帰国、2日に東大で検査したところ、体内にヨウ素131と微量のセシウム137が検出された。
86/05/06 朝日 「帰国者45人が汚染」
キ エフ、モスクワ経由の観光旅行から5日、成田空港に日本人101人、在日外国人22人の計123人(3便)が 帰国、検査の結果、体や荷物がチェルノブイリ事故による放射能で汚染されていた。科技庁放医研が同空港で帰国直後に調べたところ、体が汚染されていた人は 45人、スーツケースなど86個も汚染されていた。このうち甲状腺に放射能が検出された8人は、同研究所で精密検査を受けた。
86/05/15 朝日 「死者9人、292人入院」
ゴ ルバチョフ・ソ連共産党書記長は14日夜、チェルノブイリ事故以来はじめて国営テレビを通して演説し、同事故 とその後の対応に関し、最高指導者としての見解を表明した。同書記長は事故について、?原子炉の停止作業中に大量の蒸気が発生、水素爆発を誘発した?死者 は9人、292人が入院中?発電所と隣接地域の放射能は今も人間にとって危険な水準にある、などを明らかにした。
86/05/15 朝日 「市民の多くが脱毛」
チェルノブイリ北方130kmのゴメリ市に住む女性は、モスクワの友人へのへの電話で、この数日間で頭髪が全部抜け落ちたと告げた。この女性によると、5歳の自分の子供をはじめ、人口30万人のゴメリ市民の多くの人も同じ目に遭ったという。
86/05/15 毎日 「原発事故、10万人が放射能検査」
14日付けのソ連紙ソビアツカヤ・ロシアは、これまでにチェルノブイリ原発の周辺住民を中心に10万人が放射能検査を受け、検査はまだ続いていると報じた。
86/05/19 朝日 「死者は11人に」
ソ 連政府機関紙「イズベスチヤ」は18日、チェルノブイリ原発事故で消火に当たった消防士がさらに一人死亡した と報じた。これでソ連側の発表による死者数は計11人となった。米国の骨髄移植の専門家、ゲール博士は16日、同事故の被曝者の治療を終えて帰国するに当 たって、13人が死亡、300人が負傷という数字を明らかにしている。
86/05/21 毎日 「中絶を、妊婦殺到」
ユー ゴの首都ベオグラードからの報道によると、ユーゴ国内の病院では、チェルノブイリ事故の影響を心配して中絶 手術を求める妊娠女性が殺到している。同国内でこれまで放射能障害の危険が報告された例はないが、当局は妊産婦に対して行っている健康状態の定期的監視態 勢を当分続行するよう関係方面に指示したという。
86/05/25 毎日 「炉と一緒に犠牲者“埋葬”」
ソ連共産党機関紙プラウダは23日、チェルノブイリ原発事故で最初に死亡した2人の犠牲者のうち1人は遺体が発見されないまま、事故炉と一緒にコンクリート詰めにされることになったと報じた。
86/05/29 朝日 「被曝患者1000人」
ノー ボスチ通信は28日、チェルノブイリ原発事故の重症患者が収容されているモスクワ第6病院のグスコバ医師の 話として、事故による患者は千人に達すると伝えた。ゴルバチョフ共産党書記長は14日の演説で、入院したものは約300人と述べており、千人というソ連側 報道はこれがはじめて。同通信はまた「事故の4時間後には特別の医師団がモスクワから現場へ飛ぶ態勢を整えていた。さらに24時間以内に医師団は千人の中 から重症者100人を選別した。第3陣として最後にモスクワに送られてきて、現在治療中の患者は避難民だ」と伝えた。
86/05/29 朝日 「ウォッカに殺到 放射線障害に効く !?」
「ウォッ カは放射線障害に効く」――チェルノブイリ原発事故で放射能汚染の影響を受けているソ連のキエフ紙で は、こんなうわさが広まったため、住民がウォッカに殺到、アル中追放運動で販売が制限されているウォッカが町中にはんらんしている。キエフ市では通常9 ルーブルもするウォッカが4分の1以下の2ルーブルという特価で販売されている。
86/06/07 朝日 「住民2人も入院」
チェ ルノブイリ原発事故による患者の治療にあたっているゲール博士ら米ソの専門家は6日午後、モスクワで記者会 見し、放射線障害で入院した299人の中には、原発から約3km離れたところにいた住民2人が含まれていたことを明らかにした。「1人は自転車に乗ってい て、ひざの部分がやけどをしたようになった。もう1人は野菜畑で仕事をしていた女性だ」と同博士らは述べた。
86/07/12 毎日 「被ばく1.3?2.6ミリレム」
科 学技術庁は11日、チェルノブイリ事故による日本への放射性降下物の影響をまとめた。セシウム137の降下量 は、最も大きかった石川県で、1平方km当り7ミリキュリーだった。降ってきた放射能による推定被ばく線量は5月からの1年間で、外部被ばくが1人当り平 均で1.3ミリレム、内部被ばくは成人平均で2.1ミリレムと計算された。
86/07/21 朝日 「原発事故は人為ミス」
ソ 連政府は、チェルノブイリ事故の直接原因は「人為的ミス」であったことを明らかにするとともに、関係者の解任 などの処分を行い、刑事責任も追及中であると発表した。また、事故により28人が死亡、直接の被害額が20億ルーブル(約4700億円)にのぼったことを はじめて公表した。「事故は労働者たちの一連の重大な原子炉運転規則違反によって引き起こされた」もの。事故が発生したとき、4号炉は計画に基づく修理作 業中で、タービン発電機の運転に関する実験が同時に行われていた。
86/08/22 朝日 「設計上の備え欠いた」
ソ 連当局は21日、モスクワで記者会見し、チェルノブイリ原発事故についての最終的な調査結果を発表した。その 中で、?死者は31人にのぼり、現在なお3人が重体である、?安全装置を切るなど6つのミスが重なって事故が起こった、?原子炉の設計者はこうした異常な 人為ミスに対する備えを考えていなかった、?放射能医学センターをキエフにつくる、などの点を明らかにした。現在まで入院した人の数は299人。そのうち 放射線障害を受けたものは203人だった。チェルノブイリ原発半径30kmの危険地帯から避難した人の数は約13万5000人(うち子供4万5000人) にのぼった。また、事故のあった4号炉は「埋葬」されるが、運転を停止している1号・2号炉については「秋には操業を再開するだろう」との見通しを示し た。
86/08/23 朝日 「6000人以上の早死に予測も」
ソ連がIAEA(国際原子力機関)に提出したチェルノブイリ原発事故報告書によると、事故による放射能汚染は当初考えられていたより広い地域にわたり今後、国内で6000人以上が早死にし、避難した住民は4年間も戻れないかもしれない、としている。
86/09/10 北海道 「ガン死、30万人以上に」
チェルノブイリ事故の放射能によるガン死者数は全世界で30万人を超す、という予測結果を、米カリフォルニア州アナハイムで開かれた米化学会で、カリフォルニア大ゴフマン教授が発表した。この予測は、ソ連政府がIAEAに提出した報告書の数値に比べはるかに大きい。
86/09/20 日経 「原発事故で住民に補償」
ソ 連のゴスチェフ蔵相は19日、チェルノブイリ事故の損害と住民に対する補償措置について記者会見した。原発周 辺から避難した約11万人の住民に対し、1人の場合4000ルーブル(1ルーブル=約230円)、2人は7000ルーブル、さらに1人増すごとに1500 ルーブルの見舞金を支給、置いてきた家財道具などについてもすべて国家が補償したと述べた。
86/09/20 朝日 「ソ連原発事故4600億円の被害額」
ソ 連のゴスチェフ蔵相は19日の記者会見で、チェルノブイリ原発事故の被害額は、原子炉、電力、工業、農業、被 災者への補償などすべてを合わせて総額20億ルーブル(約4600億円)に上ることを明らかにした。被災者への補償は国家予算から5億ルーブル、社会保険 から1億ルーブルが支出され、ほかに国民の寄付による救済基金5億ルーブルと海外からの救援金150万ルーブルも救済にあてられた。
86/10/31 産経 「事故処理作業員12人射殺さる?」
ソ連から西側に亡命したエストニア人で組織する「亡命エストニア人連帯委員会」は30日、ストックホルムで記者会見し、チェルノブイリ地区で今年6月、汚染除去作業に動員されたエストニア人300人が抗議ストを行い、うち12人が軍隊により射殺されたと語った。
86/12/10 東京 「放射性物質を人力で撤去」
チェ ルノブイリ原発で今年9月、事故炉の封鎖作業中に人力で放射性廃棄物を撤去した兵士が英雄称号を受けた。9 日付けのソ連国防省機関紙「赤い星」によると、タカラノフ少将率いる作業部隊は、事故のあった4号原子炉の屋根に堆積した数10トンの放射能廃棄物と燃料 を除去する任務を与えられたが、遠隔操作のロボットが使用不能となった。このため、20キロの防護服で身を固めた志願兵5人がヘリで屋根に降り、放射能黒 鉛をシャベルで4号炉の内部に戻したという。作業は1分13秒続けられ、この間兵士は3.6レントゲンの放射能を浴びた。
1987年
87/01/21 北海道 「骨髄移植、効果なし」
来 日中のソ連チェルノブイリ原発事故医療・治療研究調査団(団長・ボロビヨフ教授)が20日に記者会見し、事故 直後被曝患者に施した骨髄移植などの手術はほとんど効果がなく、大半が死亡したことなどを明らかにした。重症患者13人に骨髄移植、また6人に胎児の肝細 胞を移植したが、助かったのは骨髄移植の2人だけで、残り17人は死亡した。
87/02/07 朝日 「70年間で死者4000 欧州の後遺症深刻」
ソ 連チェルノブイリ原発事故に関する米政府特別調査団(デントン団長)は6日開かれた原子力規制委員会に独自の 事故報告書を提出した。それによると、今後70年間にソ連で1万人以上、ヨーロッパでも4000人のガン死者が出るほか、ソ連で知恵遅れのこどもが大勢誕 生しているはず、と健康への深刻な影響を指摘している。
87/03/16 毎日 「セシウム137、報告の4.5倍も」
京 都大学原子炉実験所の瀬尾健助手らのグループは16日までに、チェルノブイリ事故で放出されたセシウム137 の総量が、ソ連政府が報告した値の4.5倍の450万キュリーにのぼる、との試算を得た。欧州各地で採取された土壌サンプルやガンマ線の測定値を基に汚染 状況を解析したもの。チェルノブイリ原発から半径30kmに沈着したセシウム137は31万キュリー、30-600kmに140万キュリー、600km以 遠に280万キュリー。合計450万キュリーは原子炉に蓄積されていた量(770万キュリー)の半分を超す。
87/04/06 朝日 「直後、被ばく恐れず記録映画」
去 年4月のチェルノブイリ原発事故直後、ウクライナの映画製作グループが被ばくの危険を冒して撮影したドキュメ ンタリー映画が6カ月間も上映されないままになっていたことが分かった。映画は「チェルノブイリ:困難の日々の記録」。シェフチェンコ監督は、去年の秋に 編集の仕事をしていたころ病に倒れ、その後なくなった。
87/04/12 毎日 「西独で異常児出産急増」
西 独の西ベルリンなどで異常児の出産が急増しており、専門家の間ではチェルノブイリ事故の放射能汚染によるもの ではないかとの見方が出ている。西ベルリンの人類遺伝学研究所によると、同事故から9カ月後の今年1月、西ベルリンでは10件のダウン症候群の新生児出産 が報告され、通常の1カ月当り2件を大きく上回った。
87/04/23 朝日 「放射線で13人が身体障害」
ソ 連医学アカデミーのイリイン副総裁は22日の記者会見で、チェルノブイリ事故による急性放射線障害患者は 237人だったが、28人は死亡、209人が労働能力を快復したが、結局13人がさまざまな程度の身体障害者として残ったことを明らかにした。また、原発 から30km圏にいた約10万人が定期検診の対象者として登録され、特に子どもや妊娠中に事故に遭った母親から生まれた乳児などは特別監視しているが、現 在までに異常はみられないとしている。
87/05/07 朝日 「国際協力で追跡調査へ」
チェ ルノブイリ原発事故で被ばくした人たちの大規模な健康追跡調査を国際協力で進めようという「放射線影響の疫 学的研究法についての専門家会議」が18日から5日間、国際原子力機関(IAEA)と世界保健機構(WHO)の共催でウィーンで開かれる。出席予定者は9 カ国23人で、ソ連からの参加者は3人。
87/05/23 朝日 「21世紀半ばまで追跡調査が必要」
ウィー ンのIAEA本部で開かれていた「放射線影響の疫学研究法についての専門家会議」は、人々への健康影響を 来世紀半ばまで継続して調べる必要があることなどを確認して22日終わった。ソ連のサウロフ代表によると、事故炉から30km以内にいて避難した住民13 万5000人全員の被ばく線量を推定し、それを登録する作業が行われている。
87/05/25 産経 「ソ連・ウクライナで住民に放射能恐怖症」
チェルノブイリ原発事故の結果に関する最近の記者会見で、ロマネンコ・ウクライナ共和国保健相は、「放射能恐怖症」に陥った一部の住民の間で牛乳、生野菜、果物などの摂取を控える動きがあり、栄養不良による体力低下が心配だと述べた。
87/09/29 毎日 「チェルノブイリ事故後、米の乳児死亡率上昇」
チェ ルノブイリ事故による放射能が米国に降下した昨年6月?8月の3カ月間、雨量の多い米西海岸や一部東部の各 地で、乳児を中心に死亡率が異常に上昇していたことが、スタングラス・ピッツバーグ大名誉教授らの分析調査で明らかとなった。チェルノブイリの放射能が米 国に到着したのは昨年5、6月頃で、その直後の6月の乳児死亡率が前年同月比で約15%も上昇。7、8月も同7?4%高くなっていた。「チェルノブイリに よる放射能汚染に起因しているとしか考えられない」と結論つけている。
87/10/09 朝日 「事故原発の埋葬完了」
ウィー ンのIAEA本部で2日まで開かれていた原子力運転と安全に関する国際会議で、ソ連代表が、チェルノブイ リ事故について昨年の報告書以降の調査結果と対策を発表した。IAEAの専門家は、人々の健康への影響は昨年の予測より小さく、ソ連の安全対策も大幅に前 進したと評価する見解を発表した。
87/11/03 北海道 「2500人が人口中絶」
10 月31日に発売された英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」は、ギリシャで昨年、チェルノブ イリ原発事故の影響を恐れた女性2500人あまりが妊娠中絶手術を受けていた、とするアテネ医科大学の産科医グループの報告を掲載した。出生数を統計的に 分析した結果、ギリシャにおける1月の出生は予測の9100人から7032人に減少していた。2、3月もそれぞれ390人、103人予測より少なかった。 研究グループは、昨年5月、妊娠直後の女性の23%が人工中絶を受けたと推定できるとしている。IAEAでは、原発事故の余波で、西欧では10?20万人 の妊婦が中絶したとみている。
1988年
88/04/15 朝日新聞
東 京で開会中の日本原産大会に出席している、ソ連原子力発電省のボロー ニン第1次官によると、チェリノブイリ事故後100万人が検査を受け、とくに3万2千人が病院で精密検査を受けた。急性放射線障害は237名で、31人が 死亡した。同次官はこれらの数字に今も変化がないことを強調、また原発周辺も含め大部分は除染により元どうりになった、しかしセシウムの高いところが点々 とあるのでそこでは厳重な管理を行っている、と述べた。
88/04/30 毎日新聞:モスクワ=ロイター共同
29日夜のソ連国営テレビによると、チェルノブイリ原発事故の処理に携わった物理化学者レガソフ氏(52)が27日死亡した。国営テレビは死因を伝えていない。
88/05/08 朝日新聞:モスクワ=新妻記者
チェルノブイリ事故被曝患者の治療にあたったモスクワ第6病院当局者は5日付イズベスチヤ紙で、「事故2年間で住民の間には1人も放射線障害が出ていない」と述べた。
88/05/23 朝日新聞:モスクワ=新妻記者
ソ 連のチェルノブイリ事故の初めから現場でその処理作業を指導し、先月 下旬に自殺したクルチャトフ原子力研究所の故レガソフ第1副所長が残した「チェルノブイリ回想記」が20日付けのプラウダで公表された。「原発はサモワー ルのようなものだ」とうそぶく原発幹部など、無知、お粗末な安全対策ぶりをレガソフ氏自身の体験した事実で告発しており、遺稿となった回想記にはソ連の原 子力政策に対する強い警告がにじみ出ている。
88/09/06 新潟新聞:ロンドン=共同
ソ連医療遺伝子研究所のボチコフ研究員は、オックスフォードの学会で、ロシア共和国の60万人が生涯にわたり半年毎の健康診断を受けることになったと述べた。
88/09/29 北海道新聞:モスクワ=共同
27日のイズベスチャによると、ウクライナ共和国で遺伝性疾患の患者が大幅に増えている。共和国各地の特別施設には、不治の遺伝性疾患患者が10万人収容されており、毎年1万~1万2千人増加している。放射線との関連に記事は触れていない。
88/11/03 読売新聞:モスクワ=記者
ウ クライナ共和国南西部のチェルノフツウィ市(人口20万)で、子供の 頭髪が抜け落ちる奇病が流行、放射能後遺症では、と市民の間に疑惑が広がっている。神経疾患をともなう脱毛症で先月までに子供82人が入院、現在も連日 2~3人の入院が続いている。地元保健当局は、放射能とは関係がないと否定。
1989年
89/03/12 北海道新聞:モスクワ=共同
タス通信が10日伝えたところでは、エストニア共和国のシラマエ(チェリノブイリから約900km)にある幼稚園で、24人の園児に集団で頭髪が脱毛。専門家の委員会を設置し原因究明に。シラマエの放射能レベルは正常値だった。
89/04/04 朝日新聞:広河隆一
3 月中旬チェリノブイリ訪問。原発南25kmの所で農婦が農作業中、そ の村では100人ほどが疎開先から勝手に帰村。ナロジチ地区ペトロフスキー・コルホーズの議長によると、目に異常のある豚が昨年30頭生まれた、事故前は 年に1,2頭だった。ナロジチ病院の看護婦によるとは、子供のうち2人に1人は甲状腺肥大が見られる。
89/05/19 朝日新聞(?):ロンドン=共同
17日発売のネーチャーによると、チェリノブイリ30km立ち入り禁止区域内に、老人を中心とする村民千人、労働者6千人が居住。労働者は月の半分だけ。
89/05/22 日経新聞:記者ルポ
15、 16日のモスクワで開かれた世界原子力発電事業者協会設立総会の 後、チェリノブイリ発電所を公開。発電所から10kmのところで0.2mr/hr、4号炉から500mのところで9mr/hr。石棺内部の最高温度は現在 200度C。キエフの放射線医学研究所では、67万3千人に特別の医療カードを発行、検査が継続中。200レム以上は55人、このうち400~600レム は17人、600レム以上は1人(存命中)。
89/07/01 北海道新聞:モスクワ=時事
30 日発売のニジェーリャによると、白ロシア共和国モギレフ州で児童の 貧血や視力低下、血液成分異常が発生している。同州の病院長ペニコフスキー氏が明らかにしたもので、このほか運動機能障害、無筋力症、ビタミン欠乏症、免 疫異常が認められる。同州のレオノフ党第1書記によると、事故から3年たっても、学者の予測に反して、放射能の値は低下していない。同州の1430平方 kmが汚染されている。
89/07/27 北海道新聞:ワシントン=共同
チェリノブイリ事故当時、骨髄移植を行ったゲール教授は、手術した13人のうち生存しているのは2人であると報告。
89/08/01 河北新聞:モスクワ=時事
チェ リノブイリ北方50~60kmのロシア共和国ホイニキ市で、児童の 間に貧血やのどの炎症が広がっている。30日付イズベスチャが同市600人の署名した手紙を掲載したもの。「放射能の影響はない」とした当局や学者の誤り を指摘し、過去3年間に地区の党第1書記ら幹部や大半の医師が住民を残し脱出したと非難。
89/08/08 サンケイ新聞:モスクワ=記者
ウ クライナの反体制ジャーナリストで人民代議員のヤロシンスカヤ女史 は、ネジェーリャ最新号で、ウクライナ共和国のチェリノブイリ西方12の村で住民が高濃度の汚染により危険にさらされている、と当局を批判。女史が入手し た公式データによると、ナロードニーチェスキー地区の12の村で70年間に受ける被曝線量は、35.5~113レムとされ、ソ連自身の基準35レムを越え ている。子供たちに甲状腺などのどの疾患や貧血、のど、胃、食道などのガンが増大。牧草地で160Ci/平方kmの汚染が見つかっている。ウクライナ共和 国当局は、いかなるデータも公開しないようかん口令。
89/08/10 北海道新聞:モスクワ=記者
9 日のソビエツカヤ・ロシアによると、ロシア連邦共和国ブリャンスク州 のクラスナゴールスキー地区では、きわめて汚染の高い12の村に約3千人が生活。ザボーリャ村のコルホーズ議長によると、「私の家のガンマ線量は室内許容 値の10倍以上」。同村の野菜畑の大部分でセシウム汚染は100Ci/平方km以上。86年に同地区で甲状腺ガンはなかったが、この2年間に15人。慢性 的気管支炎は、3年前の千人当り94人から、今年前半は175人。結核症状の認められた家畜は、87年46頭、88年139頭、今年前半は337頭に急 増。これらはすべて白血病によるもの。
89/08/15 朝日新聞:モスクワ=記者
タ スが14日伝えたところでは、チェリノブイリ事故で住民が避難した白 ロシア共和国の3つの地域に特別保護区を設けることが決まった。この地区の動植物に異常がみられ追跡調査するため。今後千ヘクタールの森林が死滅すると予 測。また松の葉が大きくなったり、子供の手のひらほどのアカシアの葉が観察されている。貯水池の底には放射能が蓄積、カマス、スズキ類に多量の放射能が蓄 積。ハリネズミやトガリネズミにも異常な集中が観察されている。
89/10/02 毎日新聞:モスクワ=共同
30 日の「ソビエト文化」は、白ロシア共和国で奇形児の出産やガン患者 が急増していると報道。ゴメリ州ホイニキ地区では、今年1月から6月の間に13人の奇形児。昨年の奇形児出産は3件。奇形児の出生率は事故前の85年に比 べ3~4倍、死産も増加。モギレフ州スラブゴロド地区では、85年に11人しかいなかったガン患者が、昨年は70人に急増。今年1~6月は新たに34人。 同地区の人口は過去2、3年の間に約20%減少しており、ガン発生率の上昇は明らか。ゴメリ州などでもこうした傾向。スラブゴルド地区では動物の奇形出産 も急増。
89/10/12 毎日新聞:モスクワ=共同
11 日発売のモスクワ・ニュースは、白ロシア共和国で染色体異常や免疫 異常などの影響が確認され、とくに汚染地域では敗血症、子供の甲状腺肥大などの病気が増えている、と報道。「大きなウソ」と題された記事は、作家アダモ ビッチなど4人の座談会をまとめたもの。またソ連最高会議発電・核安全問題小委員会のシェルバク委員長は、事故で放出された放射能の量は、公式に発表され た5千万キュリーではなく、10億キュリーと明らかにし、64億キュリーと推定する専門家もいると述べた。ウクライナ、ナロジチ地区のブジコ第1書記は、 同地区では甲状腺肥大などのため健康な子供は事実上いないと強調。
89/10/21 毎日新聞:モスクワ=共同
18 日付イズベスチアの投書で、労働者レーピン氏は「ともに放射能除去 を行った若者たちが急死している。死者の数は増え続けている」と告発。事故直後動員されたイグナチェフさんは1カ月後に倒れ、翌年には歯が22本抜け、脱 毛、頭痛、ぜんそく、胃の痛みなどを訴え、昨年7月21才の若さで死亡。多数が闘病生活を強いられている。同紙編集部は、事故後原発地区に入った労働者は 約60万人に上ると述べ、発病の事実に目をつぶることは罪だ、と強調。
89/11/04 朝日新聞:モスクワ=共同
3 日付コムソリスカヤ・プラウダは、白ロシア共和国の汚染地域に住む 613町村の住民を避難させると伝えた。実施時期は明らかにされていないが、3段階にわけて実施され、第1,2段階は今後も住民が住めない261町村、第 3段階は352町村となっている。同紙によると、ゴメリ、モギレフ両州では奇形児の出産や子供たちの甲状腺肥大などの病気が増えているという。
89/11/05 毎日新聞:ロンドン=共同
西ドイツ、ブレーメン大学のシュミットら4人は、3日発売の英医学雑誌「ランセット」に、チェルノブイリ事故後、西ドイツ南部地域の新生児死亡率が、それ以前の低下傾向から上昇傾向に転じたと発表。
89/11/09 毎日新聞:モスクワ=時事
8日発売のソ連週刊誌「モスクワ・ニュース」は、チェルノブイリ事故の、消火や放射能除去作業に従事した労働者のうち、250人以上がこれまでに死亡。「チェルノブイリ同盟」の結成を伝える記事とともに報道。
89/11/11 朝日新聞:ウィーン=ロイター共同
チェ リノブイリ事故除染作業で250人以上が死亡したという報道につい て、ソ連当局は10日、事故との関連を否定。ソ連保健省生物物理研究所のブルダコフ副所長によると、「除去作業には少なくとも10万人が従事しており3年 半の間に250人ほどが死んだ。この数は、正常な成人の死亡率と一致する」。
89/12/09 毎日新聞:モスクワ=記者
7 日のプラウダによると、ウクライナのクラマトルスク市で住宅団地の建 設に汚染したコンクリートパネルが用いられ、入居者が白血病で死亡していたことが明らかになった。コルジェ一家がこの団地に転居して数年後、長男が白血病 で死亡。もう一人の子供も同じく白血病と診断された。同じアパートに前に入居していた一家も白血病で2人の死者を出しており、当局が調査したところ、子供 部屋の壁の放射能汚染が判明。セシウムまたはコバルト汚染と見られるが原因は不明。
89/12/17 東京新聞
チェルノブイリ避難民の村、チェルノポリスカヤ村のルポルタージュ。155軒420人。避難後村民の死亡は16人。交通事故の1人を除き15人は老人。赤ん坊12人はみな正常児。
1990年
90/02/17 毎日新聞:モスクワ=共同
白ロシアの作家、アダモビッチによると45万人の避難がさらに必要。チェルノブイリ同盟のチレスによると、事故後3年間に72人の関係者が死亡。ドキュメント映画を撮影したカメラマンのグレビニュク(42)が15日夜死亡。
90/04/04 河北新聞:ロンドン4日=共同
ポー ランド、クラクフで開かれた医学の倫理に関する会議で、ミンスクの 白ロシア大学教授、オレグ・ザデロ教授が、チェリノブイリ事故の結果、白ロシア、ウクライナ合わせて今後数千人の死者がでると警告。オレグ教授によると、 白ロシアの住民200万人が放射線レベルの高い「汚れた領土」に住み、10万人はさらに強い放射能のなかで汚染穀物を食べている。またウクライナの代表団 は、疾病や免疫不全が急増している事実を報告。
90/04/09 日経新聞:モスクワ8日
ゴルバチョフ大統領は、チェリノブイリ事故の被害住民に対する援助の大統領令を発令。周辺地域の子供や青少年のために、医療・保養施設を優先配分するよう要請。またソ連閣僚会議と保健省は、事故周辺地域で働く労働者のメディカルチェックを実施する方針を打ち出した。
90/04/12 朝日新聞:ハバナ10日時事
キューバ政府は、チェリノブイリ事故で障害を負った子供たちを病院に受け入れた。ハバナの病院には113人が収容されている。みな放射線被曝で甲状腺、白血球に異常が見られるという。
90/04/19 毎日新聞:ニューヨーク=タス
ユニセフの委員会で白ロシア共和国の代表団は、チェルノブイリ事故で3万7千人以上のソ連の子供達が、ガンや貧血、心臓病で苦しんでいるとし、子供達のための援助を要請。白ロシア共和国は人口220万人で、子供は約80万人。
90/04/24 毎日新聞
ウ クライナのヤコブレフ医師が来日、23日記者会見した。同共和国では 4つの州と10の地区が厳重管理区域に指定され、居住する数百万の住民のうち、妊婦、新生児の健康調査が行われている。内臓障害などの先天障害をもった子 供の出生は、1985年は1000人に22人だったが、昨年は30人に増加。甲状腺ガンの子供が2人発見されたほか、妊婦の免疫機能の低下、子供の呼吸機 能や胃腸の障害、貧血が増加しているという。妊婦の妊娠中毒症は事故前の1.5倍、貧血は2.5倍、未熟児出産や死産も増加傾向。
90/04/26 毎日新聞:モスクワ=時事
ソ 連最高会議のシチュルバク代議員は25日、チェルノブイリ事故による 死者は公式発表より十倍多い約300人に達すると発表。ウクライナの市民組織「チェルノブイリ連盟」が算定したもの。汚染除去、避難、加療などで今後 1800億~2500億ルーブル(40~55兆円)が必要と見込まれるという。またドグジェフ副首相は25日、ウクライナ、白ロシア、ロシア3共和国で、 1993年までに18~20万人を避難させる計画を明らかにした。
90/04/27 毎日新聞
白ロシア共和国の反原発の作家で人民代議員のアダモビッチ氏が来日、26日記者会見。チェルノブイリ事故について「死者は数万人にのぼるとみられ、白ロシアだけで200万人が正常な生活を営めない」と語った。
90/04/30 毎日新聞:シアトル=AP
チェルノブイリ事故で復旧活動を行い、白血病の症状がでたソ連人パイロットが27日、米国シアトルの病院で骨髄移植手術を受け、手術は無事終わった。生存率は25~75%という。
90/6/4 朝日:RP=東京
ソ連西部のサラトフ州バラコボ市で1日、操業中のバラコフスカヤ原発の第2期計画に反対する集会が開かれ、原発へ至る道路が「人間の鎖」で封鎖された。反対運動を組織しているのは、バラコフ市の医療関係者と「緑の党」活動家。
90/6/18 朝日:キエフ=松本記者
キ エフで17日まで3日間、チェルノブイリ被曝者第1回全ソ大会が開か れた。これまでばらばらだった組織を統一しようと各地から1000人を越す代表が集まった。大会での報告によると、除染に参加した人は合計60万人、うち 4分の1が正規軍人で、残りのほとんどは、「ズボレ」と呼ばれる民間人。約5万人が重い放射線障害による病気に侵され、200~300人に1人の割合で死 亡した。最終日、「全ソ・チェルノブイリ同盟評議会」が正式に発足した。
90/6/27 北海道
ソ 連生物物理研チェリャビンスク支所のコセンコ臨床部長は、「日ソ放射 線影響に関する講演会」で、1949年チェリャビンスクのプルトニウム生産用施設で大量の放射性廃棄物が近くの川に流れだし、住民2万8千人がひばく、と いう事実を明らかにした。総量で300万キュリー、平均0.4グレイのひばく、33年間に37人の白血病。
90/7/4 朝日:シアトル=AР
米フレッド・ハッチンソンがん研究センターで骨髄移植手術を受けたソ連人のヘリコプター操縦士アナトリー・グリシェンコさん(53)が、2日深夜心不全で死亡。
90/7/8 朝日:モスクワ=共同
ソ連共産党大会で、白ロシア・ゴメリ州選出の女性代議員が、新生児の死亡率が急増するなど住民の健康に大変な異常が起きていると報告。1985年と89年を比べると新生児死亡率が4.1倍、視覚障害発生率3倍、血管障害8倍など。データの出所は明らかにしなかった。
90/7/9 朝日:モスクワ=渥美記者
ミンスク大学のペトリャエフ教授によると、白ロシア汚染地帯の住民の肺の中に多量のホットパーティクルが存在。
90/8/1 北海道:カイロ=大沼記者
エルサレムに本部をおくユダヤ教組織の招きにより、チェルノブイリ事故で被災したソ連国内のユダヤ人の子供3000人が近くイスラエル入りする。すでに第1陣200人がウクライナを出発。
90/8/4 日経
日本赤十字は4日、チェルノブイリ事故の救援として、医療機器(1400万相当)と援助金1300万円を贈ることを決定。
90/8/7 福井
広島原水禁大会に参加のキエフのイリーナ・ゴルディンコ医師によると、チェルノブイリ事故の結果、妊婦子供の被害が深刻。甲状腺異常は軽度のものも含め、妊婦で1万5千人、子供で5万人、出生直後の乳児で約3万人にのぼる。
90/8/11 朝日:RP=東京
IAEAは10日、白ロシア共和国のゴメリに事務所を開設。事務所長によると、ソ連政府の招待で17ヶ国の専門家がチェルノブイリ事故の分析をしている。
90/8/15 北海道:モスクワ=伊藤記者
笹川財団の調査団が14日モスクワで記者会見し、毎年約10億円を5年間、約50億円をチェルノブイリ被災者の医療活動に役立てると発表。
90/8/18 朝日
エストニア共和国に住むチェルノブイリ被曝者に、注射器1万本を送ろう、という運動が17日スタート。「エストニア・チェルノブイリ・ヒバクシャ基金」で呼びかけ人は大石武一ら18人。
90/8/30 朝日:特集
ソ 連原子力発電省エネルギー研究所のコリャキン教授によると、チェルノ ブイリ事故がもたらした被害額は、最低1500億ルーブル最高2150億ルーブルの2000億ルーブル。ただしこれは15年間分。農業損害が 575~945億、原発停止・建設停止で668億、移住、除染等事故処理で350~450億。医療関係費は入っていない。
90/9/2 福井
チェルノブイリ原発などを視察したIPPNW日本支部の訪ソ団5人が31日帰国し記者会見。広大横路教授によると、チェルノブイリ事故処理にあたった十数万人のうち、これまでに246人が急性放射線障害などで死亡。
90/9/7 毎日
「チェルノブイリ原発事故に関する日ソ協力の覚え書」で、年内に両国の放射線医学専門家などが相互訪問することが決まった。
90/9/15 読売:モスクワ=浅見記者
コ モソモリスカヤ・プラウダは14日、1954年ウラル南部で行われた 核実験で付近住民が「人体実験」の対象にされた、と報道。1954年9月14日オレンブルグ市近くのトツキー地区で約10キロトンの核実験を実施。前日に 地区の住民に対し家屋のすべての扉、窓、煙突を開放するよう要請、多くの住民が「爆発を直視しない」ことを条件に戸外にいることを義務づけられた。
90/10/11 北海道
チェルノブイリ事故処理で被曝したエストニア・チェルノブイリ委員会のイラク氏が来日。エストニア・チェルノブイリ・ヒバクシャ基金が招いたもの。広島大原医研に入院。
90/10/27 朝日
広 島の放影研で開かれていたWHOのチェルノブイリの健康影響に関する 科学諮問会議は、オブニンスクに設立する「放射線保健問題国際センター」の活動内容について、20万人の疫学調査など六つのプログラムを決めた。疫学調査 の対象は、甲状腺被曝の子供7万人、事故処理従事者4万人、汚染地区居住者4万人、避難者4万5千人。
90/11/3 毎日:ストックホルム=AP
スウェーデンで開かれた国際シンポジウムでソ連のザンゲローバ教授は、セミパラチンスクの過去40年間の核実験で周辺住民約50万人に健康障害、生まれた子供の3分の1に先天的障害と報告。セミパラチンスク地方の医学的報告は今年はじめまで機密あつかいであった。
90/11/14 日経
広 島を訪れているカザフ共和国セミパラチンスク放射線医学研究所のグ シェフ所長が記者会見。核実験場周辺の被曝住民は約50万人、他地域に比べ、ガンが40%、白血病が50%多く発生している。49~65年にかけて200 回以上の実験、ガンマ線だけで1~160ラドの被曝と推定。被曝住民2万と別の地域2万を比較したもの。なかでも食道ガンは7倍、肝臓ガンと肺ガンは3 倍。染色体分離異常は4~7倍、乳児が免疫低下などで1才までに死亡する率は1.5~2倍。
1991年
91/1/29 朝日
来日中のソ連生物物理研ブルダコフ副所長が、広島で記者会見。南ウラルでの1949~51年の汚染事故と57年の廃棄物爆発事故により住民47万人がなんらかの影響を受けた。うち5万人は、注意を要する人たち。
91/2/4 朝日:RP=東京
2日のモスクワ放送によると、白ロシア最高会議はこのほど、チェルノブイリ事故の遺伝的影響に対する予防措置に関する共和国計画を採択。家族計画、胎児診断、新生児検診などの措置を含む。事故以降3年間に、発育不全の幼児が18%増加。
91/2/4 朝日
南 ウラルのテチャ川で40年前におきた放射能汚染に関する日ソ専門家会 合が東京で開かれた。ソ連生物物理研究所チェリャビンスク支所のコセンコ臨床部長にインタビュー。再処理施設からの廃液により240kmが汚染、53年か ら61年にかけて7,500人が疎開。住民20,800人を調査、平均線量は0.4Sv。白血病、ガンが増加したが、広島・長崎に比べ1/3から1/5。
91/2/16 朝日
南 ウラルのプルトニウム生産工場労働者に白血病やガンが多発しているこ とが判明。東京で開かれた日ソ専門家会議でのコシュルニコワ生物物理研究所主席研究員の話などによると、48年から53年の間再処理工場で働いた男性 1,800人のうち、197人がガン、25人が白血病で死亡。
91/4/10 毎日
チェルノブイリ事故で被曝した子供6人が広島で治療を受けるため来日。24日まで滞在し原爆病院で検診、治療を受ける。
91/4/13 朝日
16日からのゴルバチョフ来日に合わせ、日ソ原子力協定が結ばれる。チェルノブイリについても影響研究に重点を置いた覚書が交わされる。
91/4/15 読売:特別記事(木村記者)
3月に日本からのチェルノブイリ事故調査団(団長熊取敏之)が現地調査、汚染地域避難民と話し合い。ソ連事故被害処理委員会は57万6千人を登録、健康追跡調査などを始めている。住民の不安は深刻。しかし、専門家の多くは放射線の影響に関して懐疑的見解。
91/4/15 日経:ロンドン=時事
14日のインディペンデントオンサンデーによると、チェルノブイリ事故により7000~1万人が被曝により死亡。事故処理にあたったソ連科学者チェルノセンコの話として伝えたもの。また、核燃料190トンのうち60~80%が放出されたという。
91/4/15 日経
「チェルノブイリ救援募金」(代表吉沢弘志)は今月下旬、白ロシア・モギリョフ州に小児科医ら二人の医師を派遣する。
91/4/17 読売:パリ=共同
ソ 連科学アカデミー副総裁で生物物理研究所所長のイリインは、パリで開 かれているチェルノブイリ事故の会議で、事故後2ヶ月間の死者は28人と述べ、7000~1万という英紙の報道を否定。また事故処理にあたった11万人の なかでガンなどの増加は確認していない、と述べた。
91/4/20 毎日:ロンドン=共同
英原子力公社は、チェルノブイリ事故に関する報告書を発表。今後全世界で4万人がガン死、うち1万人がソ連国民。
91/4/22 朝日:キエフ=渥美記者
ウクライナ共和国のスピジェンコ保健相によると、チェルノブイリ事故の後遺症でこの5年間にウクライナだけで約600人が死亡。大量の放射線を浴びたため免疫機能が衰え、主に心臓欠陥系の病気にかかり死亡。
91/5/8 毎日:モスクワ=共同
ソ 連最高会議は6日、チェルノブイリ被害者救済のための社会保障法を最 終採択した。最高会議改選以来初の満場一致。汚染地域住民、事故処理作業員ら480万人を対象。91年度は国家予算の4%弱にあたる103億ルーブルを投 入。1平方km当り15Ci以上の地域住民28万人は移住対象(7万人は既に移住)で、補償金と新しい住宅が提供される。5~15Ciの地域では、移住希 望者に補償金を支給するが住宅の提供はなし。事故処理作業従事者へも補償金と優先的医療サービス。
91/5/18 読売
チェルノブイリの事故影響に関するIAEA国際諮問委員会の報告。住民の健康被害認めず。
91/5/21 北海道:モスクワ=共同
ソ 連保健省によると、チェルノブイリ事故による死者は、当初の31人の ほかに、多量に被曝した145人の重症患者のうち30人が死亡。タス通信によると、復旧作業員約60万のうち、276,614人を調べた結果、1990年 末までに1,065人が死亡。この死亡率は同年代の死亡率とほぼ同じ。
91/6/1 朝日:花井記者
セミパラチンスク核実験場を訪問。これまで320回を越す実験が行われてきた。最初の核実験を見たという老婆の話では、赤い光と黒いキノコ雲が不気味だった、少し経ってイヌとネコの毛がなくなった、4人の孫も次々と病気になった、と言う。
91/6/12 朝日
チェ ルノブイリ被曝者の治療にあたってきたソ連人医師ら一行が、広大原 医研での短期研修を終え、東京で会見、IAEA報告を厳しく批判。キエフの放射能医学全ソ科学センターのクリメンコ血液学部長らによると、ウクライナ共和 国では年平均1人か2人だった子供の甲状腺ガンが、昨年は21人に急増した。
91/6/29 日経
チェルノブイリ事故IAEA報告の報告会が28日東京で開かれた。住民の健康障害では、英国のリー博士が、不安やストレスによるものが目立つ、と強調。原子力資料情報室の高木代表は、IAEA報告は政治的なもの、との抗議声明を発表。
91/7/1 朝日:キエフ=友清記者
「チェルノブイリに光を」第3次現地調査団は29日、キエフの赤十字本部で、4月に来日した子供や医師と再会。アファナエフ医師によると、治療方法を比較の結果、ウクライナの患者には日本の方法が最適、とのこと。
91/7/4 福井
チェルノブイリ周辺から、きれいな空気を吸って健康を回復したい、と北方領土へ移り住む人が少しずつ増えている。
1991/7/24 毎日
ソ連テレビラジオ国家委員会のエゴロワさんと、父親でベラルーシ平和基金副総裁のエゴロフ氏が来日。日本チェルノブイリ連帯基金の招きで、信州大学で甲状腺の検査を受けた。
1991/9/30 毎日
ベラルーシ・チェチェルスク市の汚染が、「チェルノブイリに放射能測定器を送る会」の現地調査で分かった。セシウム137の体内量は大人で、1.5~1.6万ベクレル。
1991/10/12 日経
「放射能被曝者医療国際協力推進協議会」(会長重松逸造)は11日、広島でチェルノブイリに関する報告会を開催し、医師ら13人が報告。佐藤広大原医研教授は、白血病や甲状腺ガンが増加していると報告。
1991/10/25 毎日
ベラルーシの住民の肺にホット・パーティクルのあることが判明。ベラルーシ大学のペトリャーエフ教授の研究。
1991/10/26 毎日:モスクワ=石郷岡記者
「ト ルード」紙は25日、1985年8月10日ウラジオストク近くのシ コトバ22村で原潜原子炉の取り替え作業中に爆発炎上事故があり、10人が死亡していたと発表。犠牲者の指輪の分析より爆発当時の放射線量は9万レントゲ ン/時。約1000人の労働者兵士が除染に従事した。
1991/10/26 朝日:モスクワ=尾立記者
ソ連国家放射能防護委員長のイリインは、24日朝日新聞記者と会見、チェルノブイリ事故で被曝した子供たちに甲状腺異常が増えていることを初めて認め、「継続的な調査が必要だ」と語った。
1991/12/10 毎日
カ ザフ共和国腫瘍学放射線研究所のバルムカノフ所長が9日京都で講演。 セミパラチンスクの実験は1949~91年の間に約800回、約350万人が被曝。実験場で働いていた軍人ら1万人を64年に登録。89年に追跡調査した ところ7千人が死亡して折り、一般人の約3倍であった。実験場300km以内の人たちの、ガン発生率は他地域の2~3倍、白内障は4~5倍、その他平均寿 命も下がった。実験場には「医学放射線ならびに生態学研究所」が設立された。
1992年
1992/1/28 毎日:ボン=共同
ウクライナの物理学者チェルノセンコは、チェルノブイリ事故処理に従事した百万人が生命の危険にさらされている、と語った。
1992/3/7 サンケイ:ロンドン=時事
ザ・ タイムスは6日、カザフスタンにある旧ソ連の核兵器解体施設近くの 集団農場で、労働者やその家族十数人が変死していると報じた。アルマータ北100kmのサリオゼク周辺で、さらに北100kmのタルディクルガンに廃棄施 設。農場で15人死亡したほか、羊や牛が次々と死んでいる。
1992/3/10 毎日:モスクワ=共同
ベラルーシのカザコフ保健相は、ゴメリで開かれた科学者会議で、チェルノブイリ事故発生以来ベラルーシで子供の甲状腺ガンが45件確認され、発生率は事故以前に比べ17倍になったと述べた。その他、肺、胃、血液の疾患や妊娠異常も増えていると指摘。
1992/3/13 福島民友:ロンドン=共同
ウクライナ環境保護省顧問のチヒー博士は11日、ブリストルの会議で、チェルノブイリ事故によるキエフ州の汚染地帯で、動物の奇形出産が増えていると指摘した。事故以前は極めて少なく、明らかに汚染が原因と述べた。
1992/10/22 毎日:ウィーン・高畑記者
IAEAは21日、旧ソ連からの放射性物質密輸事件にからんで密売人が放射線障害で発病した事例を公表。スイスのチューリヒで放射性セシウム2グラムを所持していたポーランド移民1人が摘発されたが、胸ポケットに入れて所持していたため重体とのこと。
1992/11/1 毎日
ベラルーシの汚染地では4割の子どもに甲状腺肥大などの影響。同国の小児科医らが31日大阪市内で開かれた市民団体との交流会で報告したもの。
1992/11/5 毎日
チェルノブイリ事故の被曝者治療に取り組んでいる広島大学医学部の上田教授が4日、白血病を患っているキエフ市の友人の長女を広島で治療するため。「カーチャを救う会」を結成した。
1993年
1993/1/28 毎日:モスクワ・石郷岡記者
ロシア政府幹部会は27日、1940-50年代に起きたウラル地方の核事故を協議し、被害の調査、対策に本格的に乗り出す決定をした。汚染事故により50万人に被害を及ぼしたとされる。
1993/3/6 毎日
医療研修で広島に滞在中のセケルバエフ・カザフ放射線医学生態学研究所副所長は、5日の記者会見で、セミパラチンスク核実験場周辺住民の白血病発生率が通常の100倍以上であると発表した。
1993/4/24 毎日:ジュネーブ・ロイター
WHOは23日、チェルノブイリ事故が原因でベラルーシの子どもの甲状腺ガンが24倍に増え、と発表した。
1993/8/15 毎日:モスクワ・石郷岡記者
イズベスチヤ紙は13日、原爆実験場で爆発直後の演習を行った旧ソ連軍兵士がロシア国防省を相手に損害賠償の訴えを行ったと報じた。訴えたのはソロキンさん、68歳。1954年9月、トツコエの原爆演習に参加。
1993/10/14 毎日
ベラルーシの子どもの甲状腺ガンが急増し、事故前に年平均1人だったのが、昨年は65人にも上っていることが判明。この8月現地を訪れた市民グループ「チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西」が入手した資料による。
1994年
1994/4/27 毎日:モスクワ・三瓶記者
チェルノブイリ事故8年にあたり、ロシア各紙は事故についてさまざまに報道。国防省機関紙「赤い星」によると、事故処理作業にあたった30万人のロシア人のうち、3万人が身体障害者となりこれまでに5000人が死亡。
1994/5/11 毎日:バーデンバーデンAFP
チェルナウセンコ氏は10日、ドイツのラジオ放送で、チェルノブイリ事故による放射能汚染のため旧ソ連諸国で向こう10年間に1500万人が死亡するだろうと述べた。
1995年
1995/7/4 毎日
チェルノブイリ事故による放射能汚染地域で、新生児の先天性異常の発生が88年をピークに事故以前と比較して最高2.2倍に達していた。広大原医研の佐藤所長とベラルーシの遺伝疾患研究所の共同調査で明らかとなったもの。
1995/9/22 毎日:ジュネーブ・福原記者
国連人道援護局がまとめた報告では、チェルノブイリ事故の処理にあたった人々80万人がガンの危険にさらされ、汚染地域の7割の人が精神的障害をかかえている。
1996年
1996/4/8 毎日:モスクワ時事
ウクライナ放射線医学研究所のポヤルコフ所長は5日、チェルノブイリ事故の影響でウクライナでこれまでに2500人が死亡したと述べた。
1996/4/21 毎日:シカゴ時事
ザ・ ブレチン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ誌最新号は、 チェルノブイリ事故10周年に合わせて特集を組み「事故から人類は何も学んでいない」とIAEAなどを批判した。カナダのマープルズ教授は、事故の直接の 死者は少なくとも6000人にのぼると報告している。
1996/4/22 毎日
チェルノブイリ事故からもうじき10年を迎えるが、旧ソ連政府の事故対策グループが、事故直後に子供60人以上を含む市民900人以上が急性放射線障害になった事実を機密議事録に残していたことが明らかになった。
1996/7/26 毎日:モスクワ・大木記者
ウクライナ国家原子力委員会は25日、フメリニツク原発で24日、蒸気管が破裂する事故が起き、職員1人が死亡、施設の一部に放射能が漏れたと発表。事故の規模はレベル1。
1996/11/19 毎日
阪 大医学部の杉山教授や野村教授のグループは、チェルノブイリ周辺汚染 地域に住み、血液検査で「異常なし」とされていた住民の血液から、白血病の目印遺伝子WT-1の増殖を確認し、通常の検査で異常がない住民も白血病に対す る高いリスクを負っていることを、遺伝子レベルで裏付けた。
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